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2015/06/11

メンタルヘルス・アドヴァイザーから

                                           メンタルヘルスアドバイザー
                                              市来 真彦
                                           (精神科医・精神保健指定医)

 保護者のみなさま、こんにちは、本学のメンタルヘルス・アドヴァイザーの市来真彦(いちきまさひこ)と申します。メンタルヘルス・アドヴァイザーというのは聴きなれない言葉だと思いますので、まず私がどのようないきさつで本学に来るようになって、どのようなことをしているのかをまずお話したいと思います。

 まず私が本学に来るようになったいきさつについてお話しましょう。私が精神科医になった二十数年前、病院の精神科を初めて訪れる方は、決まって病気をこじらせた状態、すなわち学生であれば、すぐに休学しなければならなかったり、退学しなければならなくなっていたり、といった状態になってから来られる方がほとんどでした。それは「精神科なんかを受診したくない(受診させたくない)」という思いが、ご本人にもご家族にも根強かったから、というのがひとつの理由のようでした。それから約十年が経ち、精神科に対する印象が変わったこともあって、多くの患者さんが精神科の医療機関を受診するようになりました。しかし今度は、せっかく治療につながったのに、自己判断で治療を中断して症状をぶり返してしまう状態、すなわち学生であれば、治療しながら何とか学生生活をおくれていたのに、休学しなくてはならない状態になってしまったり、といった状態で再度医療機関に戻ってくる患者さんをたくさん見るようになりました。これらの患者さんたちを見て、私はいつも「もう少し早く来てくれたら良いのに」と思ったり、「周りの人がちゃんと病院に通うように言ってくれたら良いのに」という思いを強く持っていたのです。そのような時に、本学からお声かけをいただいたのです。

 次に私が本学で現在何をしているのかをお話しましょう。「メンタルヘルス」という言葉は、「メンタル=精神」、「ヘルス=保健」つまり、「心の健康を保つこと」ということです。そして「アドヴァイザー=助言を行う人」ですから、メンタルヘルス・アドヴァイザーとは、「心の健康を保つ助言を行う人」という意味になります。では「誰の心の健康を保つのか?」というと、その対象は、「大学にいる人、つまり学生と教職員」です。だから私は「学生と教職員が心の健康を保てるように助言する保健の専門職をしている」と言うことができるでしょう。私は日頃は大学病院の精神科で診療をしているのですが、本学は病院ではないので治療を行うことはできません。ですが、病気にならないように助言したり、病気の人に治療の邪魔にならないような助言をすることはできます。実際私が本学にお呼びいただいて十年余が経ちましたが、この間本学では全国の大学に先駆けて、大学をあげて学生の心の健康づくりに取り組み、私もその中で自分ができる助言を行ってまいりました。それらの経験を踏まえて、現在私は、「学生の心の健康づくりにとって大切なことは、第一に学生ご本人が主体的に心の健康づくりに取り組むことであり、第二に学生を支える保護者の皆さまが適切な役割を果たしていただくことであり、それらがあった上で大学の教職員の努力が実るのだなあ」、と感じるようになっています。そのような考え方から、私は保護者のみなさま向けにも情報や考え方を発信してゆく必要性があると考え、以前は年に5回の広報誌に「メンタルヘルス・アドヴァイザーから」というタイトルで記事を書かせていただいておりました。しかし時代が変わり、今やホームページでの情報発信が求められています。私も時代遅れにならないように、この場でメンタルヘルス講座を開いて、心の健康について書いてゆきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。